今回は、「消費者行動モデル」や「カスタマージャーニーマップ」を使ってマーケティングを考えていきます。
この2つの概念は正確には異なるものですが、
ペルソナに焦点を当てて認知から購入までの行動経路を描き、ポイントごとに施策を考えていくという点では似ています。
個人の情報発信ビジネスにおいても、ただ闇雲にコンテンツの作って発信するよりも、
『消費者行動モデル』や『カスタマージャーニーマップ』に沿ってコンテンツを作っていく方が効率的なので、ぜひ参考にしてみてください。
消費者行動モデルとは?
まだその商品を知らない消費者が、商品を知ってから購入に至るまでのプロセスを、段階ごとに横軸で表したものを消費者行動モデルといいます。
AIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)は比較的有名なので、一度は聞いたことがあるかもしれません。
人は、その商品の存在を知ってからすぐに買うわけではありません。
例えば、
CMで美味しそうなコンビニスイーツを見て(認知)、「美味しそうだな~」と思い(関心)、欲しい!買いたい!と思い(欲求)、コンビニに行ったときに「あ!あのCMのスイーツだ!」と思い出して(記憶)、購入する(行動)。
みたいな感じのプロセスを辿りますよね。
必ずしもこの5つのプロセスを経て購入するわけではないし、場合によっては別のプロセスが入るかもしれませんが、だいたいこの5つのプロセスを辿るよね、と作られたのがAIDMAです。
1920年くらいにアメリカで『AIDA』が提唱され、後に『AIDMA』にリニューアルされましたが、日本では2004年に電通が提唱した『AISAS』と比較される形で広りました。
ちなみにAISASは
- Attention(認知)
- Interesting(関心)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)
の頭文字をとったものであり、『Search(検索)』『Share(共有)』が組み込まれているという、
パソコンやインターネットが普及し始めた時代ならではの消費者行動モデルになっています。
2015年には、SNS時代に対応した『Dual AISAS(デュアルアイサス)』と『ULSSAS(ウルサス)』という、2つの新しい消費者行動モデルが提唱され、
同時期にコンテンツマーケティングに対応した『DECAX(デキャックス)』という消費者行動モデルも提唱されました。
このように時代の変化が激しいなかで、消費者の行動パターンも変化していっているので、消費者行動モデルも頻繁に生まれています。
マーケティングファネル(ダブルファネル)
消費者行動モデルとぜひセットで覚えた方がいいのが、『マーケティングファネル』という概念です。
ファネルは日本語で『漏斗』を意味しますが、上(認知)から下(行動)へ進むにつれて人数が減っていくことから、ファネル(漏斗)になぞらえています。
商品を知った人全員が購入するわけではないので、下にいくにつれて絞られていくのは考えてみれば当然かもしれません。
ただ、上層の人数を増やさないと(ファネルの入り口を広げないと)、最下層(購入・共有)の人数も増えないというのは、意外に大事なポイントです。
つまり、あまり認知されていないとか、認知されているけど興味持たれていないとか、検索までされていないなど、つまづいている段階がわかるということですね。
個人でスモールビジネスをされている方とかは、リピーター化したりコミュニティのメンバーになってもらうこと(LTVを上げる)が重要になるので、購入後の顧客の行動もデザインしなければいけません。
それを考慮すると、マーケティングファネルはこのような形になります。
『購入』の後に『継続』→『紹介』→『発信』と続いていき、顧客の数はどんどん多くなっていくことから、正三角形の図が下に付随します。
購入後の顧客の行動まで図化したファネルを、『ダブルファネル』といいます。
「購入したけどリピーターになってくれない」「口コミや紹介が少ないな」「SNSで検索しても自社商品に関する情報が全くない」などの課題がある場合、ダブルファネルの下の三角形の形が歪んでいるかもしれません。
ケーススタディ
では、実際に消費者行動モデルを使って考えてみようと思います。
今回は情報発信ビジネス(コンテンツマーケティング)を例にケーススタディをやっていきますので
『DECAX(デキャックス)』という消費者行動モデルを採用します。
ちなみにDECAXは
- Discovery(発見してもらう)
- Engage(関係構築する)
- Check(確認してもらう)
- Action(購入してもらう)
- eXperience(体験してもらう)
の5段階の行動プロセスを表したモデルです。
『情報発信ビジネス(コンテンツマーケ)』×『DECAX』だとこのような感じになります。↓
①Discovery (発見) |
②Engage (関係構築) |
③Check (確認) |
④Action (購入) |
⑤eXperience (体験) |
|
ゴール | 存在を知ってもらうこと | メルマガに登録してもらうこと | コンサルをやっているの知ってもらうこと | コンサルを契約すること。 | 知識をスキルを身に着け、結果を出してもらい、喜んでもらうこと |
課題 | 認知されない | メルマガ登録数が伸びない | 何やっている人なのか知られない | 購入率が低い | 実践してくれない 成果が出ない |
原因 | ・チャネルやタッチポイントが少ない ・アクセス数が少ない |
コンテンツの質が低い ブランディングの精度が低い |
・プロフィールを読まれていない ・セールスレターが開封されない |
・リードナーチャリングの精度が低い ・セールスライティングの精度が低い |
・指導力が低い ・継続的なコミュニケーションが少ない |
改善策 | ・チャネルやタッチポイントを増やす ・SEO対策を強化する 広告をうつ |
コンテンツの質を上げる ブランディングの精度を上げる |
・プロフィールのクリック率を上げる ・ステップメールの精読率や開封率を上げる |
・リードナーチャリングの精度を上げる ・セールスライティングのスキルを上げる |
・コーチングについて学ぶ ・顧客向けのメルマガを発行する |
媒体(チャネル) | ブログ,Twitter | ブログ,Twitter ,メルマガ |
プロフィール メルマガ |
セールスレター |
横軸がDECAXの5つの段階を表し、縦軸が各段階に対する『ゴール』『課題』『原因』『改善策』『媒体(チャネル)』を表しています。
縦軸の項目は僕が考案したものなので、ご自身のビジネスに合わせてアレンジすることは可能です。
このようにすると、
どの段階で、どのような課題があり、どのように修正していくべきかなどの改善がしやすくなります。
カスタマージャーニーマップ(CJM)とは?
カスタマージャーニーマップとは、直訳するとカスタマー(消費者)の旅(ジャーニー)を地図(マップ)にしたものであり、
簡単に言うと、消費者が商品を購入するまでの行動経路を図式化したものです。
上の章でとり上げた『消費者行動モデル』と似たような概念ですが、実際は違うものです。
カスタマージャーニーマップは
- “ペルソナ視点”であること
- 行動経路や思考・感情などを細かく表したもの
この2点において『消費者行動モデル』とは違い、徹底的に顧客目線(ペルソナ目線)に立つことが大切になります。
と、ここで質問です。
スーパーやコンビニのレジの近くには、必ずと言っていいほど甘いお菓子やガムが置いてありますが、それはなぜか分かりますか?
出典:coconara
それは、お客さんは買い物疲れで甘いものや疲労軽減効果のあるガムを無意識のうちに欲しているからです。
顧客目線に立って思考や感情まで想像を巡らせなければ、なかなか思いつきづらいですよね。
これこそがカスタマージャーニーマップでやらなければいけないことなのです。
『消費者行動モデル』は消費者の行動をパターン化させて、フレームワークにした上で取り組むので、どうしても“販売者目線”になりがちですが、
カスタマージャーニーマップに決まりきった“型”はなく、ペルソナ目線に立ってその行動経路や思考・感情を分析していかなければなりません。
ケーススタディ
今回は、「情報発信で副業ブログのコンサルを販売している人」の例でカスタマージャーニーマップを作ってみます。
カスタマージャーにマップの作成は、まずペルソナを作るところから始まります。
ペルソナとは「理想的な1人の顧客像」のことで、このペルソナの目線で行動経路を可視化していきます。
図の最上部の「会社を辞めたいペルソナ」が、最終的に自分の販売する教材やコンサルを購入してくれるまで、どのようなルートを通ってくるのか。
そのルートも分岐していて、複数の行動経路が考えられます。
ただ、このようにルートを可視化すると、
どの段階のペルソナに、どんな発信をすれば刺さるのかが分かるようになります。
例えば、自由な生き方や副業について何も知らないペルソナには、それを教えてあげるようなコンテンツを届けることで、知るきっかけになります。
副業の種類について情報を集めている段階のペルソナには、様々な副業の紹介記事やブログをおすすめするようなコンテンツを。
独学でブログを始めた段階のペルソナには、ブログサイトの作り方や、ブログのノウハウに関するコンテンツを届けることで価値を感じてもらえそうですよね。
会社を辞めたいペルソナが、自由な生き方や副業について知ってからどのような行動をとるのか。
“ペルソナ視点”でそれを具体的に鮮明に図化することにより、するべき施策に気づけるはずです。
ここで大事なのは、何度もお伝えするように“ペルソナ視点”に立つことです。
売って終わりじゃない。その先のデザインを
消費者行動モデルでも、カスタマージャーニーマップでも、消費者が購入してくれるまでをゴールにしがちですが、それと同じくらい大事なのは“購入後”です。
安定して売上を伸ばし続けられる企業はリピーターを多く獲得し、紹介やSNSでの拡散により、新たな顧客を獲得するというサイクルを上手く生み出せていたりします。
特に個人のスモールビジネスにおいては、
- 顧客の数を絞り
- 商品単価を上げて
- LTV(一人当たりの生涯顧客価値)を上げる
ことでビジネスを回していくので、永遠と新規集客をし続けるビジネスモデルでは当然上手くいきません。
それはつまり、「末永くお付き合いしていけるお客さんをどれだけ作れるか」の勝負となるので、必然的に“購入後”の方が大事となってくるわけです。
買ってくれる“前”の見込み客にどれだけ価値提供できるかも当然大事ですが、買ってくれた“後”の顧客にどれだけ価値提供できるかも、しっかりと大切にしていきましょう!