世の中にはたくさんの自己啓発本や自己啓発セミナーがあるし、今この瞬間にもたくさんの自己啓発本やセミナーが販売されています。
売れるし、求めてる人が多いからです。
ですが、残念ながらほとんどの人が「1冊の自己啓発本から心身ともに突き動かされ、人生が激変する」なんてことは起きえません。
それはなぜか?
簡単にいうと、自己啓発で高めた「やる気」なんてエナジードリンクよりも効力はないからです。
自己啓発本を読んでも人生が変わらない理由
僕も昔は自己啓発本を読み漁った時期はありました。
堀江貴文さんの『ゼロ』や『多動力』、前田裕二さんの『人生の勝算』、箕輪厚介さんの『死ぬこと以外かすり傷』、オンデーズ田中修治さんの『破天荒フェニックス』、家入一真さんの『こんな僕でも社長になれた』、与沢翼さんの『秒速で1億円稼ぐ条件』などなど。
そのどれもに心を震わされ、自分の人生を良くすることへの原動力となっていました。
ですが、
「1冊の本から人生が変わった」なんてことはありませんし、今では内容も超ザックリとしか覚えていません。
というか、”読み漁っている”時点でダメなんですよね。
だってその本で人生が変わっていたら、他に自己啓発本なんて読む必要がないから。
かといって「自己啓発本を読むことに意味はない」とか「時間の無駄」「読むべきではない」とまでは思いません。
むしろ、自己啓発本は自己啓発本で読む価値はあるとは思っています。
僕が言いたいのは、
「自己啓発本で人生を変えるような“何か”を探そう」だとか、
「自己啓発本を読まなければモチベーションが続かない、人生を変えるための原動力が生まれない」とか、そう思っているなら危険ですよということです。
その理由は冒頭でも書きましたが、自己啓発本で高めた「やる気」なんてエナジードリンクよりも効果は薄いからです。
感動の賞味期限は早い
好きなアーティストのライブに行ったとき。
観たかった映画を観に行ったとき。
恋人とディズニーランドに行ったとき。
その”最中”はもちろん、終わった後も感動の余韻に浸り、しばらくは溺れるような夢見心地を味わうことができます。
次の日になるとどうでしょうか。
おそらくまだ余韻が半分くらい残っていて、仕事していても授業を受けていてもフワフワした気分になっているかもしれません。
おそらくその次の日も若干の余韻はあるかもしれません。
ですが、1週間後はどうでしょうか?
おそらくその日味わった感動や余韻はもう残っておらず、いつも通りの現実に戻り、また次のライブや映画を楽しみに生活を送るでしょう。
あの日味わった感動を、1週間経っても1ヵ月経っても同じ鮮度で思い出し、同じように心を震わせることは残念ながら不可能です。
感動の賞味期限って結構早いんですよね。
これはまさに自己啓発本や自己啓発セミナーにも同じことが言えて、
1冊の本にどんなに心を震わされたとしても、数日も経たないうちにその感動は消えてなくなります。
例え2周目を読んだとしても、1周目と同じ衝撃をうけることはありませんし、3周目は2周目よりもさらに衝撃が少ないでしょう。
スーパーマリオでいうスターの状態と同じで、無敵モードは一時的なものであり永久的に続くものではありません。
『意志の力』は弱い
そもそも人間の『意志のチカラ』なんてめちゃくちゃ弱いことは、よくご存知かと思います。
「やろう」と思ったこと、「続けよう」と思ったこと、「成し遂げよう」と思ったこと。
その通りに最後までやれた経験はどれくらいあるでしょうか。
もちろん僕も、やれた経験よりも挫折していつの間にかやらなくなっていた経験の方が圧倒的に多いです。
大掃除をした日には「この綺麗な状態をずっと保とう!」と思っても、1ヵ月後には掃除した日ほど綺麗にはなっていなかったり。
英語話してる男の子がカッコいいという女子の話を聞いて、英語を勉強し始めたけど1週間続いたかどうか…。
友達からギターを譲ってもらって練習し始めましたが、これも1週間もやらなかったと思います。
「せっかく一人暮らしを始めたんだし…」とクックパッドを見ながら自炊を始めましたが、3~4ヵ月くらいですかね。(3~4ヵ月続いた…!笑)
全部僕の話です。
そこそこの熱量で「やろう!」と決意したもののほとんどが、平均すれば1週間程度で終わってしまいました。
でもこれは当然だと思っていて、
なぜなら人間の意志のチカラはめちゃくちゃ弱いのに、意志のチカラだけに頼っていたからです。
1週間後には忘れてしまうような決意を紡ぐことに何の意味もないのです。
エナジードリンクよりも効き目は短い
そもそもエナジードリンクというのは、眠気覚ましや疲労を忘れさせるために飲むものなので、直接比較はできませんが、
効き目の時間でいうと自己啓発で高めた「やる気」の持続時間は、エナジードリンクの効き目時間よりも短いです。
エナジードドリンクは諸説ありますが、だいたい6~8時間程度の効力があると言われています。
対して、自己啓発本を読んで高めた「やる気」の持続時間は3~5時間程度です。(僕の経験上)
しかもこれには条件があって、本を閉じてすぐに行動に移した場合のみです。
自己啓発本を読み、やる気が高まり、そこから「まずはご飯食べてから行動しよ~」とか「まずは寝てから~」とか「お風呂入ってから~」とか、何か別のことを挟んでしまった場合、その時点でやる気なんて消え去ると思った方が良いです。
一番最悪なのが、「今日は寝て明日からやろう」です。
やる気が高まり、本を閉じた瞬間から行動に移した場合のみ、その行動にブーストがかかる形で3~5時間程度の効力が生まれます。
エナジードリンクは『成分のチカラ』なので、飲めば必ず6~8時間くらいの効果が発生するため、その点においてはエナジードリンクの方がまだ優秀です。
自己啓発でやる気を高めたらまずどうするか
自己啓発本を読むことに意味がないと言っているわけではありません。
一応、一気にモチベーションを引き上げることができるし、結構いろいろな知識が溜まっていくし、読んでない人に比べれば確実に「自分の人生に対する意識の高さ」は上がっていくので。
ただ、結局のところ「人生を変えたい(より良くしたい)」のであれば、引き上げたモチベーションを上手に活かさないといけません。
上の章を読んで下さったのであれば、「本を閉じたら即行動!」が大事であることはすでに勘づいているかもしれません(もちろんそれは正解です)が、
正直それだけだと『行動』が持続しません。
なぜなら、
数日後には自己啓発によるブーストは確実に終わっていて、それ以降は”意志のチカラ”に頼って行動を続けていかなければいかないからです。
では、自己啓発によるブーストがかかっているうちに、何をどう行動すればいいのか?
環境や構造(システム)を作る
『意志のチカラ』なんかよりも遥かに強力な作用を持つ『環境(構造)のチカラ』を借りるようにします。
塾に行く生徒って、なぜ学力が伸びるのでしょうか?
もちろん講師の方の教えが素晴らしいのもあるかもしれませんが、それ以上に「勉強せざるを得ない」からです。
|
こんな状況で「勉強しない」という方が逆に難しいですよね。
一方、テレビもベッドも漫画やゲームがずらっと並んでいる棚もある自宅部屋で、
誘惑を振り払って勉強に集中するのってめちゃくちゃ難しいと思います。
他にも、
お金づかいに厳しいご両親のものに育てば、自分もお金づかいに厳しくなるし、
キャプテンに就任したら、自然と「皆の模範となる行動」「キャプテンとして相応しい行動」を心がけるようになるし、 コンビニに近い場所に住んでいたら、コンビニに行く頻度が多くなる。 |
それほどまでに環境や構造のチカラって強力だし、人は気づかぬうちに環境や構造による影響を受けているものです。
だからこそ!
何かに挑戦したり、何かを成し遂げようと思ったら、「やらざるを得ない環境」をまず作ってしまうことが大切です。
自己啓発本や自己啓発セミナーでいくら「やる気」を高めても、ブーストが終わってしまえば『意志のチカラ』に頼ることになる…。
であれば、
ブーストが終わるのを見越してまずは徹底的に「環境や構造を作る」行動を起こす。
英会話教室のの体験申し込みをしてしまうとか、パーソナルジムの入会費を払ってしまうとか、資金があるのなら引越しをしてしまうとか。
僕の場合は2~3日かけて自宅の部屋からテレビとベッドを撤廃し、
作業デスクを新調し、
鬼断捨離して部屋の中を殺風景にして、
ダスキンか!というくらい掃除をしまくって作業部屋を作りました。
そうしたことで”自己啓発ブースト”が終わってしばらく経った後でも、ビジネスに集中することができています。
自己啓発でモチベーションが高まったら、環境・構造づくりを一気に行ってしまいましょう!
その日のうちに最大限のことをやり切る
自己啓発本やセミナーなどで一気にモチベーションを引き上げたら、その日のうちに最大限のことをやり切ってしまいたいです。
「継続が大事だから無理をせず…」と行動に制限をかけてしまったら、引き上げた熱量があっという間に冷めてしまいます。
もちろん「継続が大事だから」というのは正しいし、
永遠に無理をするべき!と言っているわけではありません。
あくまでもブーストがかかっているその日だけは、限界突破するくらいの気持ちでやり切ってしまおうということです。
徹夜しても良いと思います。
仮に次の日仕事や予定があっても、1日くらいなら乗り切れるはずです。
たった1日だけ無理をするとどうなるか?
なんだかんだ次の日も自然と頑張れてしまうものですし、3日目もモチベーションが高い水準で持続します。
しかも天井を叩いているので「ある程度の頑張り」くらいなら楽に感じます。
たった1日だけです。
自己啓発ブーストがかかっているその日だけは無理をするつもりで、最大限のことをやり切ってしまいましょう。
でなければせっかくのブーストがすぐに終わってしまい、「感動しただけ」で終わってしまいます。
自己啓発本は『エナジードリンク』としての価値はある
上述しましたが、
自己啓発本に「人生を変えるような強烈なきっかけ」を求めたり、
「自己啓発によるモチベーションがなければ何もできません」といったように、モチベーションを自己啓発に頼るようなことは、絶対に止めた方がいいです。
ですが、
「自己啓発本はエナジードリンクだ」と位置づけ、ここぞという時に読むのはアリだなと思っています。
どうにもやる気が減退してしまい、重い腰を上げられなくなってしまった場合。
その重い腰を上げるためだけの「パワードスーツ」として、自己啓発本を読む。
テスト前の勉強で、今日だけは徹夜して詰め込まなければいけないという時に飲む「エナジードリンク」として、自己啓発本を読む。
ここぞという時の「エナジードリンク」や「パワードスーツ」としては自己啓発本は優秀だと思いますよ。
ですが、逆に言えば「エナジードリンク」「パワードスーツ」以上の価値はないということです。
幻冬舎の編集者・箕輪厚介さんも、自身が手掛けているビジネス本についてこのように語っています。
もちろん、本で学ぶこともありますけど、それよりもっと大事なのは、ガソリンを積むことだと思うんですよね。
ナントカ術とかナントカ論みたいな本はほかの人が作ってくれたらよくて、僕はとにかく、マイルドヤンキーみたいなヤツに火をつけたい。それが僕の役割だと思っています。
まぁ、エナジードリンクみたいなものですよね。だから、あんまり飲んでも仕方がない。
これに加えて、
自己啓発で高めた「やる気」なんてエナジードリンクよりも効果は短いし、すぐに行動に移さなければあっという間に熱量は冷めるので、
エナジードリンク以上のことを自己啓発本に求めていたり、エナジードリンクを飲み過ぎている人は要注意ですよ!というお話でした。